外資系投資銀行IBDのジョブ対策 ~10分でわかる類似企業比較法・マルチプル法~
まず、ジョブの重要性が分かっていない就活生諸君にはこちらの記事を読んでもらいたい。
DCFに用事があるやつはこっち
外資系投資銀行のジョブの内容と類似企業比較法の関係性
外資系投資銀行のジョブの内容
ジョブの内容は、外資系投資銀行のジョブ対策 DCF法に書いたとおりだ。ジョブではバリュエーションというものを扱う。
バリュエーションが3種類あるというのも書いた通りだ。
コストアプローチ
企業が持ってる資産に値段をつけていく方法だ。20億のビルを持っているから20億円、8億円の生産ラインを持っているから8億円、現金が手元に1億円あるなら1億円、と企業の持ち物を足していくだけだ。 1億円のものを1億円で売ってくれと言っても交渉にならないから、1億円のものを1.2億円で買うぞと交渉をする。これがコストアプローチだ。
マーケットアプローチ
相場で考えるのがマーケットアプローチだ。その企業の株が1株500円で売られてるんだからつべこべ言わず500円、というのがマーケットアプローチだ。だが、今は1株500円だがすぐに1株600円になるはずだと主張してくるから、じゃあ600円で買ってやるから許せという交渉をする。
インカムアプローチ
DCF法はインカムアプローチの1つだ。インカムアプローチは、その企業が今から100億円稼ぐ予定だから100億円という考え方だ。100億円稼ぐ予定というやつはだいたい80億円しか稼げない。交渉するときは100億円稼げるはずだいや稼げないはずだという不毛な議論をする。
モルガンスタンレー以外の外資系投資銀行ではマーケットアプローチの類似企業比較法というやつを使う。類似企業比較法はDCF法よりは簡単だから10分で理解できる。
類似企業比較法
類似企業比較法(マルチプル法)は要するに、利益10億円の会社の時価総額*4が150億円なんだから利益10億円のあんたの企業も150億円だろ、という考え方だ。
今度は、利益10億円で時価総額200億円の企業があるから200億円が妥当だ、いや利益10億円の企業にも時価総額120億円の企業があるからやっぱり130億円だ、と不毛な争いをする。
仕方がないから似たような企業を10社くらい持ってきて平均で計算する、これが類似企業比較法だ。
10社といっても高い企業をはずしたり安い企業を外したりすれば調整はできる。平均だからといって交渉が起こらないわけではない。
類似企業比較法の3ステップ
類似企業を選ぶ
この会社が同じ事業をやっている、この会社とは事業をやっている地域が似ている、この会社とは規模が似ている、とかいろんな理屈をつけて類似企業だと断定していく。
同じ会社なんてないから似ているといったもん勝ちだ。無意味に考えずに5~10社類似企業認定しておけばいい。
類似企業の利益を取ってくる
利益10億円で時価総額が150億円だから云々と議論するんだから、利益と時価総額がわからなければ意味がない。
利益、時価総額、自己資本*5の3つの情報を集めてくる。ヤフーファイナンスに書いてあるから馬鹿でも迷わない。
バリュエーションしたい企業*6の利益と自己資本も取ってくる。(これもヤフーファイナンスに書いてある)
計算する
類似企業と認定した企業の「時価総額÷利益」と「時価総額÷自己資本」を計算する。
時価総額÷利益の平均をA、時価総額÷自己資本の平均をBとしよう。あとは計算するだけ。
バリュエーションする企業の利益が10億円、自己資本が100億円なら、この企業の価値は10億円×Aか100億円×Bになる。
幅を出したければ、類似企業と認定した企業の「時価総額÷利益」の最大値をmaxA、最小値をminA、「時価総額÷自己資本」の最大値をmaxB、最小値をminBとする。
バリュエーションしたい企業の価値は利益×minA~利益×maxA以下、自己資本×minB~自己資本×maxBになる。
これだけ。難しく書いてあるサイトも多いが10分以内にわかっただろう。